悪天候に晒された靴を手入れするタイミング

こんにちは。

ここ数日の天候さまの機嫌といったら...、THE 情緒不安定かと。

その姿、まるでなまはげの如し。

悪画質でスミマセン。




こちらもその日着る服や靴、心構えまでも考えなければいけなくなってしまうような気がします。

特に服と靴に関しては、お気に入りのものがその日に着れない(履けない)ことが多々あります。


実践的に服、靴選びができる方は、それらの手入れの仕方もご存知と思います。


しかし一方で、濡れた靴のアフターケアができないなんてことも。


僕は靴磨き屋なのですが、あくまで靴業界の人間として、今回は「濡れた靴のメンテナンス」について記事にします。


タイトルに返答をすると、まさに

「その靴をその日に履き終えた後」です。


わかりやすく言えば、その日家の玄関にたどり着いたら。


もっと正確に言うと、その日着ていたコートや服を脱いで、なんなら食事や風呂も済ませてからです。(くどい。)



ちなみに、水にさらされてしまった革靴は特にその後、カビ、雨シミ、乾燥からのクラックといった二次災害が考えられます。

お気に入りの靴が履けなくなってしまうほど悲しいことはありません...。



さあ、「いざ手入れをしよう」となると、まず一番気になるのが靴についた泥汚れ。

靴の埃払い専用のブラシでそれを払うのが億劫になってしまうほどの汚れでしたら、不要な布などを使ってみてください。(Tシャツでも、手ぬぐいでもOKです。)

あくまでスムーズレザーという、動物の革の表側を使って作られた靴について書いております。



泥汚れと埃落としが完了したら、ここでその靴の「丸洗いをする必要があるかどうか」

の判断をします。

丸洗い、つまり靴を水にさらして洗ってしまうことを指します。

丸洗いが不要であれば、革の種類にもよりますが雨で被害を被っているので、水性クリーナーを使って通常のケア(通常の靴磨きはこの後にクリームを塗っていく)をするのですが、今回は「濡れた靴のケアです。」



ここで注意するのが


1、靴を水にさらすほどの汚れかどうか

2、そもそも、その靴は洗ってもよいものなのか

3、洗った後、どう対策をすればよいか


です。


僕は基本的に、靴の丸洗いは避けています。

基本的に革は水に弱いので、もし水を使ってケアをするなら部分的に施すようにしております。

もちろん、靴磨き屋としてうたっている以上、靴の丸洗いを施すことは可能です。

お客様から丸洗いのオーダーを承る際は、まずその症状に対して、施す内容には何が適しているのかを判断して、お伝えしてから施術するようにしております。


さて、本題です。

前置きが長くなりましたが、「丸洗いをする必要があるかどうか」ですね。


上記の通り、基本的に丸洗いはなるべく避け、別の施し方で革靴をケアします。

登場するのはティッシュペーパーと水です。

街中でティッシュ配りをしている人がいたら、籠ごと搔っ払いましょう。


手順の概要例として、







とある乾燥する季節の豪雨の日、駅まで雨に濡れた彼女を迎えに行き、ハンカチやタオルなどでその水滴を拭ってあげます。

車で帰宅後、彼女は入浴を終え、自身のお肌のケアをします。

外で被った汚いものは全て流し、あなたのためにお風呂に入り、あなたのために化粧水を塗り、あなたのために美しくなるよう努力しています。

そんな彼女にできること...、それは非力ではありますが、駅まで車で迎えにゆき、濡れた体を拭ってあげること。

そんな些細なことが「愛情」なんだと思います。        づめを

























さあ、気を取り直して靴のメンテナンスですよ。

ほらそこおしゃべりしない!(チョークをビュンっ!!!)




以下に今回の濡れた靴のケアをする工程が書いてあるのですが、その前に濡れた靴を乾かします。

濡れた靴を美しく磨き上げるには、最初に被った雨の水分は飛ばす必要があります。

濡れた靴は輝きを放てませんからね...。


靴を乾燥させるのには、乾燥していて、かつ日陰になる場所を選んでください。

ここでご家庭の下駄箱を選ばれてしまうとカビが生えやすくなるので注意してください。

また、カビを生えにくくさせるのが目的でしたら、乾燥後、直射日光に靴を浴びせる手順があります。

※中途半端に濡れていた状態でケアに入ってしまうと、カビに原因になる菌が潜んだままになってしまうので、ご注意ください。


さらに、靴の型崩れを防止する目的で、シューキーパーを両足に入れてください。

靴の美貌を損なわないように元の形を維持しましょう。


24時間くらいすると靴が乾いてくるので、そうしたら次の工程に移ります。


「雨染み」という、色の変化やミミズ腫れのような現象(ケロイドとも言います)が起きていると思います。

そのミミズ腫れを除去するのがティッシュペーパーと水です。


まず、ティッシュペーパーを靴の患部に被せます。

その患部に水をかけます。(霧吹きなどで水をかけるのが最も効率が良いです。)


かけます。

いつもより多くかけております〜!



ってくらいかけてください。



コツは

・ティッシュペーパーをステッチやコバの淵まで貼ること。

・水を均等にかけること





このようなイメージですが、もう少しティッシュペーパーが均等に貼れると理想ですね。



生徒A「先生〜、革って水に弱いんじゃなかったんじゃないの?」

先生「使い方で、水は最高のメンテナンス材になるんだよ。」

生徒B「えー、色とか抜けちゃうんじゃないのー?」

先生「先生は靴磨き先生だ。色落ちにも対応する方法を知っているゾ。」



そうなんです。実は革によって色抜けしてしまうものもあるのです。

こうなった時にどうしよう...と困惑しないように、あらかじめ靴磨きの「いろは」をマスターしましょうね。

(真面目に、革靴の色抜けは特に水によって発生します。その際の色の戻し方は直接施しますので、是非一度ご相談ください。)





ティッシュペーパーを貼り終え、再び乾燥させます。


ティッシュペーパーが乾くと、自然とミミズ腫れは消えるようになっています。

文で説明をすると、水によって膨れ上がってしまった患部以外の部分を湿らせることで、革全体が膨れ上がります。

膨れが均一化し、それを上から押さえつけた状態(ティッシュペーパーの役割)乾燥させることで革できたミミズ腫れが落ち着く、といったとこでしょうか。




向かって右は水にさらされてしまい、ひどく乾燥した方。

対して左は上記のメンテナンスを施し、さらに磨き上げた方。


靴の雨シミが取れたら、さあ、靴磨きです!

やっと磨けるのです.........


ここまで来るのに、最低二日はかかるかと思います。

あとはTHE 情緒不安定な天候さまに媚びるしかないのか。



ということで、悪天候に晒されてしまった靴のケアをこんなかんじにまとめました。


1、靴が濡れたら、カビが生えないよう風通しの良いところで乾燥させる

2、雨染み、カビ、乾燥からのクラックの三大被害に陥らぬ手術をする

3、靴への愛情、感謝を忘れない


実際に個人様で革靴の雨染みを取り除くことができるのは、かなりの技術が必要かと思われます。

手順内容に不明がありましたら、ぜひ一度ご相談くださいませ。



坂爪、靴復活させます。

ザ・クリエイター 〜創世と復活の呪文を唱える者〜






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靴と魂を磨く。

This is Something to drag into. by Ryosuke Sakazume

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